2005年10月29日
(客船のメニュー:18) 北ドイツロイドのメニュー
北ドイツロイドの「コルンブス」が1937年10月にカリブ海にクルーズに行った際のランチメニューである。
日付は10月28日(木)であるが、航行海域も船長やレストランマネジャー、シェフの名前も記載されていない。
「コルンブス」は、第一次大戦が始まったとき、ダンチヒのシーシャウ造船所で建造中であった。
船台上で工事が中断された状態であったが、連合国の賠償を免れ戦後完成された船である。
野間 恒氏の「豪華客船の文化史」(NTT出版)によれば1923年11月に完成し、総トン数は32354Tとされているが、W.H.ミラー氏の「Pictorial Encyclopedia of Ocean Liners,1860-1994」では1924年完工、32581総トンと記載されている。
ハパグも北ドイツロイドも多くの船舶を戦禍で喪失し、残存したものは連合国に接収されていたなかで戦後の復興を担ってアコモデーションの配置や内装に新しい試みが取り込まれた優秀船であった。
この「コルンブス」の就航実績に確信をもって北ドイツロイドが同じクラスの新造船を2隻起工したが、まもなく5万トンに設計変更された。
これが「ブレーメン」と「オイローパ」である。
同社では「ブレーメン」と「オイローパ」を並べたポスターも沢山作ったが、これに「コルンブス」を加え3隻で描いたポスターも同様に作成し拡販に努めていた。
「コルンブス」の主機をレシプロからタービンに換装してトリオで運航させていたのである。
このとき、煙突も「ブレーメン」「オイローパ」に似せた太く短いものに取り替えられている。
このメニューの裏表紙が素晴らしい。
夕日を浴びてオレンジ色に輝く船体が水面に映っている。
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「コルンブス」は第二次世界大戦の始まったときも、カリブ海をクルーズ中であった。
異変を察知した船長は乗客をハバナに上陸させたあと、メキシコのベラクルスで3ヶ月も帰国の機会を待ったのち1939年12月に母国に向けて出港した。
アメリカ東岸でイギリス軍艦から停船命令を受けたが捕獲されるのを拒み自沈してしまった。
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