2005年10月23日

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(飛行艇の時代:33) 飛行船も飛行艇もフネである

Sandringham.jpg

航空機の操縦士をパイロットという。
これは港内あるいは狭水道など航路の水先人を示す職名をそのまま踏襲したものである。

そればかりではない。
そのパイロットの制服・制帽も船舶の航海士・機関士などの制服がモデルになっている。

エアクラフト、エアシップ、フライングボートなどの名称は何れも船、小舟を意味する。

操縦席はフライトデッキと言うが「Cクラス」と呼ばれたインペリアル航空(BA、BOACの前身)のエンパイア型飛行艇ではブリッジと呼んでいたようである。

主翼の左右先端に点灯する翼端灯も船舶の舷灯にあわせて右を緑灯 左を紅灯としていることも、左舷・右舷をポート、スターボードと言うこともエンジンを左から第1、第2と呼ぶことも船に倣っている。

職名も、パイロット・ナビゲーター・エンジニア・パーサー・スチュワードあるいはスチュワデスと呼び、航法に用いる地図もマップと言わずにチャートと言い、厨房をギャレーと呼び給油をバンカーリングと言う。

これは、長距離航空路を開いた飛行艇運航の際導入されたものである。

ブイ係留の状態でテンダーボートで送られてきた乗客を客室に案内し、ブイを解纜する。

エンパイアボートと呼ばれていたように船と同じで、係留のための索取りも必要であり、ブイのない水面では錨も装備されていた。
片方の補助フロートが接水しているので少し横傾斜したまま小型先導艇に誘導されながら離水ポイントに向かう。
このとき、先導するランチからの連絡・指示は手旗信号で行うので、飛行艇の乗組員は海軍の水兵のように手旗信号で交信できなければならなかった。

安全に離水し、巡航状態になると乗客はラウンジやプロムナードデッキで下界を眺めたり、サロンで談笑する事も出来た。
トイレも前後2箇所にあり、ゆったりと旅を楽しむことが出来た。

長距離の場合、飛行艇は寄港地に停泊し、乗客は上陸してホテルで食事をし宿泊することも出来たし、短距離でも4人掛け・6人掛けのテーブルで食事を楽しむことが出来た。

「ボーイング314」では乗客のキャビン(コンパートメント)と別にダイニングルーム・カクテルラウンジ・更衣室も用意されていた。

口絵の写真は軍用艇「サンダーランド」を民間型にしたショート「サンドリンガム」である。
「サンドリンガム」は終戦直後に「サンダーランド」から改装されたり新造されたりして30艇前後作られた。
座席で乗客20〜30席、寝台仕様で16人程度収容できたようである。
上部デッキにカクテルバーの設けられたものもあったという。

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