2005年07月13日
(生い立ちの記:17) 当時のコンピュータ
いまの若い人達は、当時のコンピュータを想像できないかも知れない。
上の挿絵のように、テレタイプのような端末があるだけで、ブラウン管とかCRTの端末はまだアイデアでしかなかった。
プログラムもデータも、コンピュータに操作を指示するコマンドもこの端末からキーインされ、その入力の記録も演算結果のアウトプットもエラーメッセージも、何もかもこのタイプライターから叩き出されていた。
人間は間違いやすく飽きやすいので、大量のデータやプログラムは予め幅1インチの紙テープにパンチしたものを同じ端末から読み込ませていた(中の図)。
紙テープでは1秒間に最高10文字くらいの速度で読み込めたので人間の操作よりましであった。
このテープは電信で使う規格ものであった。
まだコンピュータの能力が乏しかったので、一つのプログラムの中間結果を次のプログラムで読み込ませて続きの処理を行わせることがあったが、そのときはその端末で紙テープに穴を開ける(穿孔)。
このときの騒音が凄かった。
テープにパンチする速度も1秒間にアルファベットで10文字程度であった。
これを修正するためにはハサミとノリで貼り合わせるのだが、慣れないものがやると読み込みに引っかかってトラブルの原因になった。
この紙テープの入出力を効率化させる紙カード(下の図)が出現したのはずっと後のことである。
このカードは1枚80桁で、コーディングシートに手書きした1行がカード1枚になる。
従って、ちょっと長いプログラムやデータはカードが数百枚から数千枚になった。
これをコンピュータ室に急いで持ち込もうとして、慌てて転び床にぶちまけるとその並べ替えが大変であった。
勿論、このときのためにカード1枚1枚の末尾8桁にカードのIDナンバーをパンチする仕組みはあったが、急ぐときには計算に関係のないIDを省略することも多かったのである。
勿論、ハードディスクもフロッピーディスクも実用化されたのはずっと後のことである。
必要なデータはハーフインチ2400フィートのオープンリールの磁気テープに記録されていた。
上の挿絵の左のラックに丸いものが見えるが、これが磁気テープユニットである。
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