2005年07月09日
*** 当ブログは2014年5月末に引っ越しました…新しい「紺碧の海」はこちらです ***
(飛行艇の時代:17) パンナムのクリッパー
既述のイカロス出版刊「伝説のエアライン・ポスターアート」に掲載のポスターに珍しいものを見つけた。
ロウラーの作品である。
香港のビクトリアピークを背景に飛ぶパン・アメリカン・エアウェイズのボーイングB-314「クリッパー」である。
このポスターの発行された1938年当時、パンナムの太平洋便クリッパーはサンフランシスコを出発し、ハワイ・ミッドウェイ・ウェーキ・グアム・マニラに着水、それぞれ一泊して香港に出発6日目に到着していた。
ポスターには「ACROSS the PACIFIC IN FIVE DAYS」と表記してあるが、計画時は5日目に到着するタイムテーブルが組まれていたのかも知れない。
おそらくこのポスターは完成予想図を元に描かれたのであろう。
というのは、描かれているB-314が実艇とちょっと違うのである。
第一は垂直尾翼が1枚であることに気がつく。
B-314は、12艇作られたが1号艇の試験飛行で方向安定性の不足が判明し、シコルスキーや川西艇のように垂直尾翼2枚に改造された。
しかし、それでも不十分だったので中央の垂直尾翼を復活し、3枚になった。
2号艇以降は当初から垂直尾翼3枚であった。
第二は、二つずつ並んだ角窓が一列に並んでいることである。
艇内は2層であったが、後方のコンパートメントは床がステップ状に上昇しているので、窓の配置もそれに従って段差がついている。
ドルニエDoxのように3層に見えるが、本艇の艇体は2層である。
操縦室の窓も少し多すぎるようである。
実艇を見ないで描いたのでジャンクを前景に、艇体を後方においたものと思われる。
それにしても本艇のマッシブな特徴を捉えているところは流石である。
"(飛行艇の時代:17) パンナムのクリッパー"へのコメントはまだありません。