2005年06月23日
(飛行艇の時代:15) ドルニエ Dox
ドルニエは幾つも独創的な航空機を設計した、私の好きな航空機設計者の一人である。
彼は1884年、バイエルンに生まれ、1907年にミュンヘン工科大学を卒業し、1910年グラーフ・ツェッペリン飛行船会社に入社した。
そこで与えられた仕事は3発大型飛行艇ツェッペリンRsⅠの設計であった。
全金属の飛行艇は1915年10月に完成したが、試験飛行の前に暴風によって破損してしまった。
その後、RsⅡa、RsⅡb、RsⅢ、RsⅣと大型飛行艇を開発している。
間もなく彼は兄弟と航空機製造会社を設立し、飛行艇・水上機・陸上機などを開発した。
その中でも傑作は「ワール(Wal:鯨)」で、実務・試験・探検などに飛行記録を残している。
(「ブレーメンとオイローパ」の2回目、Appndix2などを参照されたい)
超大型飛行艇 DoX は1924年に開発設計が始まり、1926年に完了した。
実艇の建造はボーデン湖畔で1927年12月に開始され、1929年の夏に完成した。
基本計画は、ワールやスーパー・ワールの拡大版といった印象を与える。
艇体は3層構造で、上甲板は前から操縦室・機長室・航空士室・無線室・機関士室など船の船橋甲板のような配置である。
主甲板には客室のほか、喫煙室・バー・ギャレー、それにシャワー・バス付きの化粧室まで用意されていた。
客室の座席配置は66〜100席で運航することが出来た。
下甲板は燃料タンクが配置されていた。
3000lのタンク4個、1700lのタンク2個が取り付けられ、主翼のタンクとあわせると16000リットルの燃料が搭載できた。
1929年に完成したので、機体登録記号は "D−1929" が附番された。
初飛行は1929年7月12日(一説によると25日)であった。
同年10月には169人を乗せて1時間飛行している。
内訳は、乗員10名、乗客150人、それに何と密航者9名であった。
その後、大西洋横断飛行などを行ったが、ルフトハンザ艇として就航することはなかった。
この1号機(D−1929)のほか、イタリア向けに2機(I−REDI,I−ABBN)建造され、アルプスを越えてイタリアに納入されている。
写真は書斎の本棚にいる木製の置物である。
大胆なデフォルメながら特徴を掴んでいる。
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クロード・ドルニエの長男、クラウディウス・ドルニエ2世は、1974年11月にパリで記念講演をし、そのときに離陸最大重量1000トン、最大搭載量354トンのコンテナ輸送用貨物飛行艇を提唱した。
全幅 102m、全長 104m、ターボファンエンジン10基搭載の超大型飛行艇である。
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