2005年06月14日
(飛行船:7) グラーフ・ツェッペリン東洋周航時のワインリスト
LZ-127「グラーフ・ツェッペリン」がフリードリッヒスハーフェンを起点に東京・ロスアンゼルス・レークハーストを巡る世界周航を行なったのは1929年である。
このときのワインリストを「ZU GAST IM ZEPPELIN」から転載する。
白ワインは3銘柄挙げられている。
最初に1921年ものの、リープフラオミルヒのアウスレーゼが載っている。
ライン河上流のナーエ・ファルツ・ラインガウ・ラインヘッセンで生産される甘口のQbA白ワインで、原料のブドウ品種も規制されているものである。
赤ワインは2銘柄、スパークリングワインも2銘柄、フォーティファイドワインも2銘柄挙げている。
白や赤、それにスパークリングの単価はボトルで表示されているが、フォーティファイドワインはグラス単価である。
リキュールも幾つか挙げられているが、ツェッペリンブランドの名前のついたものがあるのが面白い。
ミネラルウォーターが最後に載っている。
このグラーフ・ツェッペリンの7年後に就航したヒンデンブルクについて、柘植久慶氏の著書「ノスタルジック写真集:ツェッペリン飛行船」には
『ヴァインカルテ・・(中略)・・そこに記載されているのはドイツとフランスの、ソムリエが厳選した素晴らしいワインばかりだった。
ワイマール共和国時代から第三帝国にかけて、ドイツの外貨事情は決して良好とは言えなかった。
食料の供給も十分ではない。しかしながら国威発揚の看板である、ドイツ・ツェッペリン輸送会社に対しては、全く制約なく優先的に外貨が割り当てられたのだ。
食事の時間ともなると、どのテーブルでも必ずワインが開けられ、会社の大きな副収入源となった。夫婦で一本というテーブルもあれば、男ばかりで一人が一本以上飲んでしまうテーブルもあった。』
と、状況が説明されている。
下の写真はサロンで食事をする乗客とヘッドウェイターのハインリッヒ・クービスである。
さすがに 乗客定員20名、テーブル4基では専任のソムリエを乗せることは出来なかった。
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