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蒼空を往くクルーザーの伝説(3)

「北アメリカへ2日」と訴えているのは、ツェッペリン飛行船運航会社のコピー。豪華客船のお客を飛行船に呼び込もうというのである。第一次大戦が終わった1920年代には、巨大飛行船の時代が到来し、その主導権を握ったのが「グラフ・ツェッペリン」号だった。雲の中にエンパイヤ・ステートビルがそびえている。(以上原典から)

実に良いポスターである。欧州から大西洋を越えてニューヨークに着くといやでもこの摩天楼が目に飛び込んでくる。

「映画劇場」でも紹介したレオ・マッケリー監督の名作「めぐり逢い」ではシャルル・ボワイエ、アイリーン・ダンのオリジナル版でも、ケイリー・グラント、デボラ・カーのリメーク版でも、ここが重要なポイントとなっている。
思い出す方も居るであろう。

[デルタ出版:「航空の黄金時代」1999.9 P2]

第1章 客船と飛行艇と飛行船(続き)

第3節 飛行船


ドイツではツェッペリン伯が、硬式飛行船の実用化と軍事・民間両面で適用分野の拡大に心血を注いでおり、その開発計画の中には重航空機より快適な空のクルーズを実現させようとする壮大な夢も含まれていた。

航空路線開設は1909年、ドイツ飛行船会社(DELAG)がツェッペリン硬式飛行船「LZ−7:ドイッチュラント」でフランクフルトからデュッセルドルフを結ぶ路線に就航した。

「グラーフ・ツェッペリン」
[デルタ出版:「航空の黄金時代」1999.9 P10]

後に世界一周飛行を行った飛行船の船上ではキャビンのほか、ダイニングルームやラウンジがあり、キャビンの外に出して置いた靴は就寝中にきれいに磨かれていたという。

ツェッペリンのダイニングルーム
キャビンと化粧室
[柘植久慶:「ツェッペリン飛行船」中央公論社 1998.1 ]
[柘植久慶:「ツェッペリン飛行船」中央公論社 1998.1 ]

面白いことに、米国では今日でも飛行船の出番がある。先年のアトランタオリンピックの際、開会式や閉会式をスタジアム上空の飛行船から撮影して映像を実況放送していた。
先日のソールトレーク冬季オリンピックの開会式も飛行船から実況中継していた。ヘリコプタはホバリング出来るが、撮影や通信用機材を搭載するには制約も多い。うまい使い方だと思う。


次章以降これら蒼空を舞台にしたクルーザー達の航跡を辿ることにする。

第2章第1節